The Japanese Educational Preambles for LaTeX (TeX)

概要

LaTeX を用いて,中等教育での教材作りに適した出力を手軽に得るためのプリアンブル集です。 パッケージ(\usepackage{...} で読み込み)とは異なり,単なるプリアンブルの一部(\input{...} で読み込み)として作りました1

私は,高校教員の間で LaTeX を使うひとが増えることで,LaTeX で作られた教材を持ち寄る文化が生まれればと考えています。

背景

LaTeX (TeX)23 は,美しい出力を得られる組版(テキストと命令から文字を紙面に並べる)ソフトウェアです。 論文作成などのアカデミックな場面では多く使われています。 数学の教員免許をお持ちであれば,大学のレポートなどでお使いになったことがあるでしょう。 しかし,LaTeX は論文や書籍のために整えられており,中等教育の教材のためにはやや大振りです。 そのために,Studyaid D.B.(数研出版)や Microsoft Word (Microsoft)などを利用しているかたのほうが多いかもしれません。 しかし,いくらかの理由から,私は LaTeX で教材を書くべきであると考えています。 このことにご興味があれば,次の記事をご覧ください。

前提

次のことは説明しません。 おわかりにならないときは,リンクの記事などをお読みください。

内容

見本

TeX と書かれたソースから,同じタイトルを持つ PDF ファイルができあがります。 TeX と書かれたファイルをクリックしてダウンロードが始まってしまうときは,テキストエディタ(Windows ならばメモ帳など)で開いてください。

趣旨

この .tex ファイルの集まりは,日本における高等学校数学科の教材・板書案を書くための私家版プリアンブルです。 すなわち,主として日本における高等学校数学科教員に向けたものです(中学校でも使えると思います)。 よろしければ,LaTeX による教材作成にお役立てください。

それぞれの表現は私が教材・板書案を作るにあたって使っているものです。 教育効果を考えなおしたり,教育環境が変わったりすることによって大きく手直しすることがあります。 それによって,組版結果に大きな違いが生まれることがあります。 お使いいただくにあたっては,その点をお許しください。 手直しするときは日付で版を管理し,私が活動しているかぎり,古い版も公開し続けます。

ダウンロード

特に理由がなければ,一番上にある最新版をご使用になってください。

  • 2022-08-07版
    • \thinkdiv(*) の幅指定を修正し,text/handoutstyle 以外でも使えるようにしました。
  • 2022-07-22版
    • \quotegraphics のバグを修正しました。
  • 2022-07-21版
    • 初めて公開する版です。

古い TeX Live での使用

このプリアンブル集では,私が作ったパッケージをいくつか用いています。2022-07-20 よりも後の TeX Live にはおそらく収められていますが,それよりも前のものには含まれません。お手数ですが,古い TeX Live をお使いかたは,次にある5つのパッケージをインストールしてください。

詳細

設計思想

設計思想については次をお読みください。

読み込むパッケージ

読み込むパッケージのうち,そのまま使うためのものは次のとおりです。 公式のマニュアルは英語であることもままあります。その場合は,非公式な解説文も併せて紹介します。

明らかにおかしな挙動にお気づきのときは,ぜひ日下部幽考までお知らせください。ウィジェット「固定記事・リンク」1に Twitter とメールアドレスがございます。

時間に乏しいことから,ここで詳しい仕様の説明はいたしません。 しかしながら,LaTeX や TeX をご存じのかたがソースコードをお読みになり,ご自身にとって使いやすいように書き換えていただくことはまったくかまいません。 書き換えていただくものを再配付なさるときは,(MIT ライセンスとしていますので強制ではありませんが)次にご協力いただけますと幸いです。

  • ぜひ,日下部幽考までお知らせください。よろしければ,配付ページでご紹介したいと思います。
  • 混乱を避けるため,名前を変えてください26
  • https://www.metaphysica.info/jep/(配付ページ)へのリンクまたは紹介にご協力ください。

ご自身で公開なさることがお手間であれば,私が代わりに公開することもできます。 資料の体裁には好みがあります。 いろいろな仕上がりになるものが選べることで,日本の教育現場において LaTeX が広がればと考えています。

参考

  • LaTeX 初等数学プリント作成マクロ emath27
    • 壮大かつ高機能な教材作成用のマクロ集です。こちらですべて足りるかたがほとんどかもしれません。一方で,多くの表現や体裁が置き換えられてしまいます。私はある程度の裁量を残したかったために Japanese Educational Preambles とその他のパッケージを作りました。
    • グラフ描画機能は素晴らしいの一言です。細かな要求にも応えてくれます。私は,図は emath を使って PDF を作り,クリッピングしたうえで貼り付けています。
    • LuaLaTeX を使っているときは,訂正版 / 3. スタイルファイルの臨時版28を上書きせねばなりません29
  • TikZ30
    • TeX 用の描画パッケージです。

  1. 追記 2023-08-12。 ↩︎ ↩︎

  2. TeX が組版システム本体の名前で,LaTeX は TeX をより使いやすくするための文書処理システム(フォーマットと呼びます)です。とくに意図しない限り,現在「TeX で文章を書く」とは事実上「LaTeX で文章を書く」ことを意味します。この記事はすべて LaTeX についてのものですが,(TeX) を付しているのは TeX という語のほうが知名度が高く,検索でいらしたかたに伝わりやすくするためです。 ↩︎

  3. 追記 2022-08-13。タイトルと最初の LaTeX に (TeX) と解説を追加。 ↩︎

  4. 改訂 2023-08-12。リンク先を変更。 ↩︎

  5. 改訂 2023-08-12。より具体的になるよう「パッケージの導入方法が理解できていること」から置き換え。 ↩︎

  6. (CTAN),Yukoh Kusakabe。CTAN,参照 2022-07-24。 ↩︎

  7. D. P. Carlisle / The LaTeX Project,Packages in the graphics bundle。CTAN,参照 2022-07-24。 ↩︎

  8. (Wiki),LaTeX入門 / 図表。TeX Wiki,参照 2022-07-24。 ↩︎

  9. Martin Scharrer,The adjustbox Package。CTAN,参照 2022-07-24。 ↩︎

  10. konoyonohana,[LaTeX] adjustbox - Graphics package を補完する汎用ボックス。天地有情,参照 2022-07-24。 ↩︎

  11. 八登崇之,pxrubrica パッケージ。CTAN,参照 2022-07-24。 ↩︎

  12. zr_tex8r,LaTeX 文書で美しい日本のルビを使う ~pxrubrica パッケージ~。Qiita,参照 2022-07-24。 ↩︎

  13. Donald Arseneau,The cases package。CTAN,参照 2022-07-24。 ↩︎

  14. Yarakashi-Kikohshi,場合分けをきれいに書く。Qiita,参照 2022-07-24。 ↩︎

  15. Donald Arseneau,The ulem package: underlining for emphasis。CTAN,参照 2022-07-24。 ↩︎

  16. (不明),【LaTeX】下線・波線・打ち消し線・上線などの引き方。数学の景色,参照 2022-07-24。 ↩︎

  17. Clemens Niederberger,TASKS。CTAN,参照 2022-07-24。 ↩︎

  18. Yoshiki KUMAZAWA,tasks。xyoshiki.web.fc2.com,参照 2022-07-24。 ↩︎

  19. Yukoh KUSAKABE,The asternote package。CTAN,参照 2022-07-24。 ↩︎

  20. Yukoh KUSAKABE,The inlinelabel package。CTAN,参照 2022-07-24。 ↩︎

  21. Yukoh KUSAKABE,The hideanswer package。CTAN,参照 2022-07-24。 ↩︎

  22. Yukoh KUSAKABE,The jpneduenumerate package。CTAN,参照 2022-07-24。 ↩︎

  23. Yukoh KUSAKABE,The jpnedumathsymbols package。CTAN,参照 2022-07-24。 ↩︎

  24. Frank Mittelbach,An environment for multicolumn output。CTAN,参照 2022-07-24。 ↩︎

  25. Yoshiki KUMAZAWA,multicol。xyoshiki.web.fc2.com,参照 2022-07-24。 ↩︎

  26. 名前を変えることは不可欠ではありません。このプリアンブル集のライセンスは MIT であり,LPPL ではありません。 ↩︎

  27. 大熊一弘,LaTeX 初等数学プリント作成マクロ emath。LaTeX 初等数学プリント作成マクロ emath,参照 2022-07-22。 ↩︎

  28. 大熊一弘,訂正版 / 3. スタイルファイルの臨時版。LaTeX 初等数学プリント作成マクロ emath,参照 2022-07-24。 ↩︎

  29. 追記 2022-07-24。 ↩︎

  30. (Wiki),TikZ。TeX Wiki,参照 2022-07-22。 ↩︎