LaTeX (TeX) パッケージのインストール1
背景
ここ最近における LaTeX (TeX)23 の導入は TeX Live4 が中心です。TeX Live を使っていると,大抵のパッケージはすでに導入されており,深く考えずに \usepackage{...}
とするだけで利用できます。
しかし,自分が TeX Live によって TeX をインストールしたよりも後に作られたパッケージや,TeX Live に収録されていないパッケージを使うときには,自分でパッケージをインストールする必要があります。
また,\input{...}
によってプリアンブルを外部化するときにも,毎回ファイルの場所を指定せずに済むようにするためには,ファイルを TeX が見つけられる場所に置かねばなりません。署名代わりの画像を載せる,といった場合も同様です。
目的
- TeX Live にて導入されなかったパッケージや,外部化しようとしているプリアンブルをいわゆる「TeX が見つけられる場所」に置く。
とくに,作業中に次のエラーに見舞われたとき5の対処です。
! LaTeX Error: File `filename' not found.
前提
- TeX Live によって TeX のインストールが済んでいる。
- OS が Windows である(他の端末でどこまで類似しているのかを承知していないため,参考になるかどうか,も分かっておりません)。
内容
- スタートボタンを右クリックし,Windows Power Shell(管理者)を開きます。
kpsewhich -var-value TEXMFLOCAL
と入力し,エンターキーを押します(コピー&ペーストできます)。- 表示されたフォルダを確認します。Windows Power Shell の画面は閉じずに置いておいてください。
C:/texlive/texmf-local
となっているのが望ましいと思いますが,C:/texlive/2022/texmf-local
(年号は TeX Live のバージョン)かもしれません。- 年号が入っている場合,このまま進めると将来 TeX Live のバージョンを上げたとき,再びファイルをコピーしなければならないと思われます。それが手間な場合は「TeX Live 2022 に更新後 .sty が見えないことへの対処」を参照してください。よく分からなければ,慣れてから考えることにして今はそのまま進めてもひとまず使えます。
- 表示されたフォルダを開きます。
- その中に,適当な名前のフォルダを作ります。
- ダウンロードしてきたパッケージなら,パッケージの名前をフォルダの名前にするとよいでしょう。
- 自分で作ったプリアンブルなら,
mypreamble
などと名づけてください。
- Windows Power Shell に
mktexlsr
と入力し,エンターキーを押します。 - しばらくすると
Updating...
やUpdated...
が複数表示されます。結構な時間がかかることもあります。最後にmktexlsr: Done.
と表示されれば終わりです。- 管理者で起動しておかなければ,
Cannot open...
などと表示されて失敗します(最後はmktexlsr: Done.
と言ってきますが,その前の行などを見てください)。そのときは,Windows Power Shell を管理者で起動し,再度mktexlsr
してください。何度やっても問題ありません。
- 管理者で起動しておかなければ,
- これで,ファイル名だけを(フルパスなしで)
\usepackage{...}
,\input{...}
,\includegraphics{...}
などとしても読み込まれます。
詳細
参考にある記事に技術的な解説が含まれます。
私はこの方法によって The Japanese Educational Preambles を読み込ませているほか,ヘッダに載せる Metaphysica のアイコンも同様に設置し,ファイル名のみで \includegraphics
しています。
参考
- LaTeX環境にスタイルファイルを追加する6
- macOS の方法も載っています。
- パッケージの入手,インストール7
- パッケージの入手方法について紹介されています。
- 一覧表の更新 (mktexlsr) について8
mktexlsr
操作の意味が説明されています。
- ! LaTeX Error: File `filename' not found.9
- パッケージが読み込めていないときのエラーメッセージに関する解説です。
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追記 2022-07-23。The Japanese Educational Preambles の公開に伴い取り急ぎリンク集として公開していたところ,内容を執筆しました。 ↩︎
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TeX が組版システム本体の名前で,LaTeX は TeX をより使いやすくするための文書処理システム(フォーマットと呼びます)です。とくに意図しない限り,現在「TeX で文章を書く」とは事実上「LaTeX で文章を書く」ことを意味します。この記事はすべて LaTeX についてのものですが,(TeX) を付しているのは TeX という語のほうが知名度が高く,検索でいらしたかたに伝わりやすくするためです。 ↩︎
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追記 2022-08-13。タイトルと最初の LaTeX に (TeX) と解説を追加。 ↩︎
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(Wiki),TeX Live。TeX Wiki,参照 2022-07-23。 ↩︎
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(Wiki),LaTeX のエラーメッセージ / ! LaTeX Error: File `filename' not found.。TeX Wiki,参照 2022-07-23。 ↩︎
-
mktia,LaTeX環境にスタイルファイルを追加する。mktia’s note,参照 2022-07-23。 ↩︎
-
(Wiki),各種パッケージの利用 / パッケージの入手,インストール。TeX Wiki,参照 2022-07-23。 ↩︎
-
(Wiki),各種パッケージの利用 / 一覧表の更新 (mktexlsr) について。TeX Wiki,参照 2022-07-23。 ↩︎
-
(Wiki),LaTeX のエラーメッセージ / ! LaTeX Error: File `filename' not found.。TeX Wiki,参照 2022-07-23。 ↩︎